葬儀の流れを徹底解説。事前準備や基礎知識、葬儀社選び、葬儀後の手続きを紹介

葬儀の流れ

現代社会において、葬儀に対する人々の意識は多様化しており、従来の形式にとらわれない新しい葬儀の形も増えてきています。一方で、葬儀に関する情報が氾濫する中で、正確な知識を得ることが難しく、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、葬儀に関する基本的な知識から、葬儀の流れ読者の皆様が安心して葬儀の準備を進められるようサポートします。

葬儀の基礎知識:故人を偲び、家族の絆を深めるために

葬儀は、人生の最終章を飾る大切な儀式です。宗教や文化、個人の考え方によって、その形は様々ですが、故人を偲び、冥福を祈るという根本的な目的は共通しています。この章では、葬儀の目的と意義、葬儀の種類、そして葬儀でよく耳にする用語について解説します。

葬儀の目的と意義

葬儀の流れ_基礎知識

葬儀の目的は、ひと言で言うと「故人を偲び、冥福を祈る」ことですが、その背景には宗教的な側面や社会的な側面、そして家族との絆など様々な要素が深く関わっています。

  • 宗教的な側面: 各宗教において、死生観や来世観は異なり、それに基づいて葬儀の形式や儀式の内容も大きく異なります。仏教では、死後も生まれ変わりを信じ、故人の冥福を祈って供養を行いますが、神道では自然との一体感を重視し、清浄な状態で送ることを大切にします。キリスト教では、天国への昇天を信じ、永遠の命を祈ります。
  • 社会的な側面: 葬儀は、社会的なつながりを確認し、故人の生きた証を社会に伝える場です。親族だけでなく、友人や知人、地域の人々が集まり、故人を偲び、遺族を励ますことで、社会的なつながりを再確認することができます。
  • 家族との絆: 葬儀は、家族が故人を送る最後の機会であり、家族の絆を深める大切な場でもあります。葬儀を通して、故人のことを語り合い、思い出を共有することで、家族の絆をより一層深めることができるでしょう。

葬儀の種類と特徴

葬儀には、一般葬、家族葬、社葬など、様々な種類があります。それぞれの葬儀には、メリットとデメリットがあり、故人の生前の希望や家族の状況に合わせて選ぶことが大切です。

  • 一般葬: 親族だけでなく、友人や知人など、広く参列者を募る一般的な葬儀です。故人の人脈の広さを示すことができ、多くの人々に別れを告げることができますが、費用がかかる傾向も。
  • 家族葬: 親族中心で行う小規模な葬儀です。故人の意思を尊重し、静かに送りたい場合や、費用を抑えたい場合に選ばれることが多いです。
  • 社葬: 会社の役員や従業員が亡くなった場合に行われる葬儀です。会社としての故人への感謝の意を表し、社員の士気を高めることを目的とします。

各宗派における葬儀の違い

葬儀は、宗教によって儀式の内容や作法が大きく異なります。

  • 仏教: 仏教では、読経、焼香、供養が中心となり、故人の霊が極楽浄土に生まれ変われるよう祈ります。宗派によって、儀式の細かな部分が異なります。
  • 神道: 神道では、自然葬や自宅葬など、簡素な葬儀を選ぶ人が増えています。神職による祝詞奏上や、玉串奉奠などが行われます。
  • キリスト教: キリスト教では、告別式を行い、牧師による説教や賛美歌が歌われます。故人の魂が天国へ昇天することを祈ります。

葬儀用語集

葬儀では、普段あまり聞き慣れない言葉が多く出てきます。ここでは、代表的な葬儀用語を解説します。

  • 通夜: 葬儀の前夜に行われる儀式で、故人の霊を慰め、冥福を祈ります。
  • 告別式: 故人とのお別れの儀式で、親族や友人などが参列し、故人の冥福を祈ります。
  • 戒名: 仏教で、亡くなった人に与えられる仏様の名前です。
  • 香典: 故人の冥福を祈る気持ちを表すために、参列者が持参するお金です。
  • 忌中: 故人の忌み期間中のことを指します。

葬儀は、故人を偲び、家族の絆を深める大切な儀式です。宗教や文化、個人の考え方によって、その形は様々ですが、故人を送るという気持ちは共通しています。葬儀の基礎知識について解説しましたが、実際の葬儀は、より複雑で多様な側面を持っています。葬儀の準備を進める際は、葬儀社へ相談したり専門書を読むなどより詳しく情報収集することをおすすめします。

葬儀の流れ①:ご逝去から葬儀までの具体的な手順

ご逝去から葬儀までの流れを、具体的な手順とともに解説いたします。死亡確認、葬儀社の選定、死亡届の提出、葬儀の準備など、各段階における注意点や、必要な手続きを分かりやすく説明いたします。
特に、葬儀社の選定に関しては複数の葬儀社に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

1. ご逝去

葬儀の流れ_逝去

ご逝去が確認された場合は、まず落ち着いて以下のことを行いましょう。

  • 医師の診断書の作成: 死亡診断書の作成を医師に依頼します。
  • 葬儀社の選定: 複数の葬儀社に見積もりを依頼し、比較検討しましょう。
  • 遺体の安置: ご遺体を病院または自宅に安置します。
  • 親族への連絡: 訃報を親族に連絡し、葬儀の日程などを相談します。

2. 葬儀社の選定

葬儀の流れ_葬儀社の選定

葬儀社選びは、葬儀全体の質を左右する重要な要素です。複数の葬儀社に見積もりを依頼し、以下の点に注意をして比較検討しましょう。

  • 費用: 葬儀プランの内容と費用を比較し、ご予算に合ったプランを選びましょう。
  • サービス内容: 葬儀の規模、宗教、希望するサービス内容など、ご自身の希望に合ったサービスを提供しているか確認しましょう。
  • 実績: 葬儀の実績や評判を調べ、信頼できる葬儀社を選びましょう。
  • 対応の良さ: 葬儀社との打ち合わせを通して、対応の良さや説明の分かりやすさなどを確認しましょう。

3. 葬儀の準備

葬儀社が決まったら、葬儀の準備を進めていきます。主な準備は以下の通りです。

  • 死亡届の提出: 死亡診断書を持って、市区町村役場へ死亡届を提出します。
  • 通夜・葬儀の日程決定: 親族と相談し、通夜と葬儀の日程を決定します。
  • 訃報の連絡: 親族や友人、会社などに訃報を連絡します。
  • 祭壇の準備: 葬儀会場の飾り付けや祭壇の準備を行います。
  • 会葬礼状の作成: 会葬を依頼する方へ、会葬礼状を送付します。

4. 葬儀当日

葬儀当日は、葬儀社スタッフの指示に従い、粛々と儀式を進めます。

  • 通夜: 故人の霊を慰め、冥福を祈る儀式です。
  • 告別式: 故人とのお別れの儀式です。
  • 火葬: 故人の遺体を火葬します。
  • 収骨: 火葬された骨を納骨する儀式です。

葬儀の流れ②:納棺から火葬まで、大切な最後の時間を送るために各段階の詳細を解説

葬儀の流れ_当日

ご逝去された方が安らかに眠れるよう、そしてご遺族が心穏やかに別れを告げられるよう、葬儀は慎重に進められます。ここでは、納棺から火葬までの具体的な流れを解説し、それぞれの段階で何が行われるのかを詳しくご紹介します。

納棺の儀

納棺は、ご遺体を棺に納める儀式。生前の感謝の気持ちを表し、安らかな眠りにつくための大切です。

  • 清拭: ご遺体を清め、着替えさせます。
  • 化粧: ご遺体の顔に化粧を施し、生前の穏やかな表情を取り戻します。
  • 納棺: ご遺体を棺に納め、蓋を閉じます。

通夜

通夜は、故人の霊を慰め、冥福を祈る儀式です。親族や友人などが集まり、故人と最後の夜を過ごします。

  • 読経: 僧侶が読経を行い、故人の霊を鎮めます。
  • 焼香: 参列者が焼香を行い、故人に手を合わせます。
  • 通夜振る舞い: 通夜に参列した方々へ、軽食や飲み物が振る舞われます。

葬儀・告別式

葬儀・告別式は、故人とのお別れの儀式です。参列者が故人の生前の思い出を語り合い、感謝の気持ちを伝えましょう。

  • 開式: 僧侶が導き、式が始まります。
  • 弔辞: 故人の生前の様子や人柄を偲ぶ弔辞が読まれます。
  • 別れのあいさつ: 喪主が参列者へ感謝の言葉を述べます。
  • 焼香: 参列者が焼香を行い、故人に最後の別れを告げます。

出棺

出棺は、故人の遺体を火葬場へ運ぶ儀式です。

  • 棺の搬出: 棺が式場から運び出されます。
  • 音楽: 出棺の際に、故人の好きな音楽が流れることがあります。
  • 参列者の見送り: 参列者が棺を見送り、故人の冥福を祈ります。

火葬

火葬は、ご遺体を火葬炉で火葬する儀式です。

  • 火葬場へ移動: 霊柩車に乗って、火葬場へ移動します。
  • 火葬: 火葬炉の中でご遺体が火葬されます。
  • 収骨: 火葬が終わると、骨を拾い集める収骨を行います。

収骨

収骨は、火葬された骨を納骨堂や自宅に持ち帰る儀式です。

位牌への魂入れ: 位牌に故人の霊魂を迎え入れる儀式を行います。

骨壺への納め: 拾い集めた骨を骨壺に納めます。

葬儀後、そしてこれからのこと。ご遺族の皆様へ

葬儀を終え、ご遺族の皆様は、故人の冥福を祈りつつ、新たな章を歩み始めることになります。この章では、葬儀後の手続きや、故人の思い出をどのように心に留めておくかなど、様々な側面からご紹介します。

御礼

葬儀にご参列いただいた方々へ、心からの感謝の気持ちを込めて、香典返しを行います。香典返しは、一般的に四十九日法要までに済ませることが多いですが、地域や宗派によって異なります。

  • 香典返し品: 近年では、故人の好物や趣味に合わせた品、故人の写真集などが選ばれることもあります。
  • 金額: 香典の金額に対して、一般的に半返しとされています。

忌明け法要

忌明け法要は、故人が安らかに旅立ったことを確認し、冥福を祈る儀式です。一般的には、四十九日に行われますが、地域や宗派によって異なります。

  • 四十九日: 仏教では、亡くなった人の魂が、この世からあの世へ旅立つまでの期間を49日間とされています。
  • 法要の内容: 僧侶による読経、焼香などが行われます。
  • 参列者: 親族や近親者が中心に参列します。

遺品整理

故人の残された遺品を整理することは、ご遺族にとって大きな心の負担となることもあります。しかし、遺品整理は、故人の思い出を整理し、次のステップへと進むための大切な儀式でもあります。実際に遺品整理にはどのようなことがあるのか確認してみましょう。

  • 思い出の品: 大切な思い出の品は、手元に置いておくか、信頼できる人に譲り渡すなど、適切な方法で処分しましょう。
  • 不要な物の処分: 不要な物は、リサイクルや寄付など、適切な方法で処分しましょう。
  • デジタルデータ: パソコンやスマートフォンに保存されているデータは、事前にバックアップを取っておくことが大切です。

納骨

納骨は、故人の骨壺を墓所に納める儀式です。

  • 時期: 一般的には、四十九日法要の後に行われますが、宗派や家族の都合に合わせて行うことができます。
  • 納骨式: 僧侶による読経や、親族によるあいさつなどを行います。

故人を失う悲しみは、誰にとっても計り知れないものです。しかし、時が経つにつれて、故人のことを想いながら、前を向いて生きていくことが大切。家族や友人と故人の思い出話に花を咲かせ、一緒に過ごした日々を懐かしむことは、心の整理を促し、穏やかな気持ちを取り戻すきっかけとなります。また、故人の形見となるような品を手元に置くことで、いつでも故人の存在を感じ、心の支えとすることもできます。

新しい趣味を見つけるなど、新たなことに挑戦することも、心を前向きにしてくれるでしょう。故人のことを忘れずに、自分の人生を大切に送ることが、故人への最高の供養になると信じています。

葬儀前に準備を解説。エンディングノートや生前整理、葬儀保険など確認しておきたい対策

葬儀は、人生の最終章を飾る大切な儀式です。しかし、突然の別れに慌ててしまうことも少なくありません。後悔をしないために、今からできる準備をしておくことがおすすめです。ここでは、エンディングノートの作成、生前整理、そして葬儀保険への加入など、具体的な事前準備について解説します。

葬儀の事前準備:後悔のないために、今できること

葬儀の流れ_事前準備

エンディングノートの作成:想いを伝える

エンディングノートとは、自分自身の死後について、家族や周囲の人々へ伝えたいことを書き記すノートです。

なぜエンディングノートが必要なのか?

ご自身の希望を事前に伝えておくことで、家族の負担を軽減することができます。 葬儀に関することや、財産に関することなど、具体的なことを書き記しておけば、ご家族は迷うことなく、ご自身の意向を尊重しながら手続きを進めることができます。これにより、家族が抱える精神的な負担を軽減し、安心して手続きを進めることが可能になります。

エンディングノートを作成することで、後悔のない最期を迎えることができます。 生前整理や葬儀に関する希望を明確にすることで、ご自身の最期についてしっかりと準備ができ、より安心して人生の最終章を迎えることができます。また、医療に関する希望なども記載することで、医療現場の方々との意思疎通が円滑になり、ご自身の尊厳を守ることができます。

ご家族へのメッセージを残すことも、エンディングノートの大きなメリットの一つです。 ご家族への感謝の気持ちや、日頃伝えられなかった言葉を書き残すことで、ご家族に温かい気持ちを与えることができます。また、ご自身の考えや価値観を伝えることで、ご家族との絆を深めるきっかけにもなります。

エンディングノートの作成は、ご自身の人生を振り返り、大切なことを整理する良い機会でもあります。ぜひ、ご自身の言葉で、想いを綴ってみてください。

エンディングノートに書くべきこと

  • 葬儀に関する希望: 宗教、葬儀の種類、お墓についてなど、葬儀に関する希望を具体的に書き込みましょう。
  • 財産に関すること: 預金口座、不動産、保険など、財産に関する情報をまとめておきましょう。
  • 医療に関すること: 病気や治療に関すること、延命治療に関する希望などを書き込みましょう。
  • 家族へのメッセージ: 家族への感謝の気持ちや、伝えたい言葉を書き込みましょう。

エンディングノートの書き方

  • フォーマットは自由: 特定のフォーマットにこだわる必要はありません。自分にとって書きやすい形式で書きましょう。
  • 定期的に見直す: 状況の変化に合わせて、定期的に見直し、内容を更新しましょう。
  • 保管場所: 安全な場所に保管し、家族に場所を伝えておきましょう。

生前整理:大切な思い出を残すために

生前整理とは、自分が亡くなった後、残された家族が困らないよう、生前に身の回りの整理をすることです。

なぜ生前整理が必要なのか?

生前整理は、単に物を整理するだけでなく、自分自身の人生を見つめ直し、より穏やかな日々を送るための大切な準備です。

大切な思い出の品は残し、もう使わないものは処分することで、ご遺族の負担を軽減することができます。また、ご自身が大切に思うものを整理することで、気持ちもすっきりし、穏やかな日々を送ることができるようになります。

生前整理は、ご自身の終活の一環として、ぜひ早いうちから始めていただきたいものです。ご自身の大切なものを整理し、残りの人生をより豊かに過ごしましょう。

生前整理の具体的な方法

  • 不要な物を処分する: 服、本、食器など、使っていないものは処分しましょう。
  • 思い出の品を整理する: 写真、手紙など、思い出の品を整理し、保管場所を決めておきましょう。
  • デジタルデータの整理: パソコンやスマホに保存されているデータの整理も忘れずに。
  • 大切な人に伝える: 大切な人へ、自分の気持ちを伝えましょう。

葬儀保険:万が一に備える

葬儀保険は、死亡した場合に葬儀費用として受け取れる保険です。

なぜ葬儀保険が必要なのか?

  • 経済的な負担を軽減する: 葬儀費用は高額になるため、葬儀保険に加入することで、家族の経済的な負担を軽減できます。
  • 事前準備ができる: 葬儀に関することを事前に決めておくことで、家族の負担を減らすことができます。

葬儀保険の種類

  • 団体葬儀保険: 会社や団体に加入している人が加入できる保険です。
  • 個人型葬儀保険: 個人で加入できる保険です。
  • 終身保険: 死亡保障だけでなく、生前にも給付金を受け取れる保険です。

葬儀保険を選ぶ際のポイント

  • 保障内容: 死亡保障金額、特約など、自分に合った保障内容を選びましょう。
  • 保険料: 保険料の負担が大きすぎないか確認しましょう。
  • 解約返戻金: 解約した場合に返戻される金額を確認しましょう。

葬儀の事前準備は、自分自身のためだけでなく、家族のためにも大切なことです。エンディングノートの作成、生前整理、葬儀保険への加入など、できることから少しずつ始めていきましょう。

監修

今野 佑一郎
今野 佑一郎行政書士・弁護士
法的準備は、安心した生活の基盤になりますし、将来の手続負担の軽減にもつながります。手続きを知り、備えることで、自分らしく生きるきっかけになればと思い、生前のサポートを充実させることを大切にしています。
遺言書の作成や、死後の手続支援(死後事務委任)、不動産に関する手続きなどについて、相続専門の行政書士法人として、幅広く情報提供をさせていただき、一人一人の生活に合った選択肢を一緒に考えてきます。