危篤と臨終|大切な人を看取るために知っておくこと

危篤とはどのような状態?

危篤とは、医学的な観点から見ると、生命の危機が差し迫っている状態を指します。具体的には、臓器の機能が著しく低下し、生命維持が困難な状態であるとされています。

もう少し詳しく説明すると、

  • 呼吸器系: 呼吸が浅く、回数も減るなど、呼吸機能が低下します。
  • 循環器系: 血圧が低下し、脈拍が弱くなるなど、血液循環がうまくいかなくなります。
  • 神経系: 意識レベルが低下し、反応が鈍くなることがあります。

危篤の状態は、人によって、また病気の種類によっても、症状や経過が異なります。ご家族の方にとっては、非常に辛い時期ですが、医療スタッフとよく話し合い、最善のケアを受けてください。

危篤と臨終の違い

危篤と臨終は、よく似た言葉ですが、厳密には意味が異なります。

  • 危篤: 生命の危機が差し迫っている状態であり、まだ治療の余地がある場合もあります。
  • 臨終: 生命の終末期を迎えており、回復の見込みがほとんどない状態です。

危篤は、生命の危機が迫っているという警告であり、臨終は、生命の終焉が近いことを示す言葉と言えるでしょう。

愛する人の危篤・臨終の際、ご家族ができること

穏やかな時間を過ごすための声かけや触れ合い

危篤の状態にあるご家族の方と過ごす時間は、とても貴重です。言葉によるコミュニケーションが難しくなってきても、穏やかな時間を過ごすための方法はたくさんあります。

  • 声かけ: 名前を呼んだり、優しい言葉をかけたりすることで、ご本人はあなたの声を感じることができます。昔を懐かしむような話をしてあげるのも良いでしょう。
  • 触れ合い: 手を握ったり、頭を撫でたりするなど、穏やかな触れ合いは、ご本人に安心感を与えます。
  • 一緒に過ごす時間: 静かに一緒に過ごしたり、好きな音楽を聴いたり、昔の写真を見たりするなど、穏やかな時間を共有しましょう。

容態の変化に備える心の準備

容態が刻々と変化していく中で、ご家族の方の気持ちは揺れ動きがちです。しかし、事前に心の準備をしておくことで、慌てずに過ごすことができます。

  • 情報収集: 病気について、そして終末期医療について、ある程度理解しておくことは大切です。医療スタッフに積極的に質問し、疑問を解消しましょう。
  • 後悔のないように: ご本人に伝えたいこと、感謝の気持ちなどを、早めに伝えておくことが大切です。
  • サポート体制: 他の家族や友人、医療スタッフなど、周囲のサポートを頼りましょう。

病院や医療スタッフのサポート

病院では、専門のスタッフが、ご本人だけでなく、ご家族の心のケアもサポートしてくれます。

  • 痛みのコントロール: 痛みや苦しみを和らげるための様々な方法があります。医療スタッフに相談し、適切なケアを受けましょう。
  • 精神的なサポート: 心理士や相談員が、ご家族の心のケアを行ってくれます。
  • 宗教的なサポート: ご希望があれば、宗教的なサポートを受けることも可能です。

医療者との連携

医師や看護師に相談することの大切さ

危篤の状態にあるご家族がいらっしゃる場合、医師や看護師に相談することはとても大切です。医療者は、ご家族の状況を詳しく理解し、適切なアドバイスやサポートをしてくれます。

  • 症状の変化: ご家族の容態が変化したとき、すぐに医師や看護師に相談しましょう。
  • 痛みや苦しみ: 痛みや苦しみがある場合は、積極的に緩和ケアを依頼しましょう。
  • 心のケア: ご家族の心のケアについても、相談することができます。

痛みを和らげることについて

危篤の状態にある方の場合、痛みや不快な症状を伴うことがありますが、適切な治療を受けることで、これらの症状を軽減することができます。

  • 薬物療法: 痛み止めや鎮静剤など、様々な薬物療法があります。
  • 非薬物療法: マッサージや音楽療法など、薬を使わない治療法もあります。

終末期医療について

終末期医療とは、治癒の見込みがなくなった病気の患者さんに対して、残りの人生をできるだけ穏やかに過ごすことができるよう、様々な医療やケアを提供することです。

  • 延命治療: 生命を延長するための治療を続けるか、それとも自然な死を迎えることを選ぶか、ご家族と医師でよく話し合い、決定することが大切です。
  • 緩和ケア: 痛みや苦しみを和らげ、生活の質を向上させるためのケアです。

法的手続き

死亡診断書

医師によって、死亡の事実が確認されると死亡診断書が発行されます。この書類は、後の様々な手続きで必要となります。

死亡届

死亡診断書を基に、市区町村役場へ死亡届を提出します。死亡届には、故人の氏名、生年月日、死亡日、死亡場所などの情報が記載されます。

葬儀の準備

死亡届の提出後、葬儀の準備を進めます。葬儀社の手配、通夜・告別式の場所の決定、会葬者への連絡など、やるべきことが多く、心身ともに辛い時期ですが、葬儀社に相談しながら一つずつ進めていきましょう。

その他、必要な手続き

死亡に伴い、以下の手続きも必要となります。

  • 年金の手続き: 故人が年金を受給していた場合は、年金事務所に連絡し、年金の受給停止の手続きを行います。
  • 保険の手続き: 生命保険や医療保険など、故人が加入していた保険会社に連絡し、保険金請求の手続きを行います。
  • 銀行の手続き: 故人の口座の解約手続きや、預金などの名義変更手続きを行います。
  • 不動産の手続き: 故人が不動産を所有していた場合は、相続の手続きが必要となります。
  • 携帯電話などの契約: 故人が契約していた携帯電話やインターネットなどの契約を解約します。

まとめ

危篤・臨終は、ご家族にとって辛い時期です。医療者や周囲のサポートを受けながら、穏やかに最期の時を過ごせるように努めましょう。
また、死亡に関する手続きも種類が多く、複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ確実に進めていくことが大切です。ご自身で手続きを行うのが難しい場合は、行政書士や司法書士などの専門家に相談することも検討しましょう。

監修

今野 佑一郎
今野 佑一郎行政書士・弁護士
法的準備は、安心した生活の基盤になりますし、将来の手続負担の軽減にもつながります。手続きを知り、備えることで、自分らしく生きるきっかけになればと思い、生前のサポートを充実させることを大切にしています。
遺言書の作成や、死後の手続支援(死後事務委任)、不動産に関する手続きなどについて、相続専門の行政書士法人として、幅広く情報提供をさせていただき、一人一人の生活に合った選択肢を一緒に考えてきます。