エンディングノートの作り方ガイド【弁護士監修】

エンディングノート作り方

終活の一環として注目されているエンディングノート。作りたいが、方法がわからず悩んでいるという方に弁護士監修のエンディングノートの作り方を解説します。
エンディングノートは、亡くなった時にご自身の希望を親族に伝えることができますが、どんな項目が必要なのかや記載を避けた方が良い内容などもあります。作り方ガイドを確認し、伝えたいことがしっかりと伝わるエンディングノートを作成してみましょう。

エンディングノートと遺言書の違いは?

エンディングノートと遺言書は、法的効力や形式、内容、作成費用などの面で異なります。エンディングノートは感謝や思い出の伝達が主眼であり、遺言書は法的手続きと財産分配が主要な焦点です。

エンディングノートと遺言書の法的効力

遺言書遺言書は法的な文書であり、亡くなった後の財産分配や法的手続きにおいて
効力を持ちます。遺言書には公正証書や自筆証書などの形式が求められ、
法的に厳密な手続きが必要です。
エンディングノートエンディングノートは法的な拘束力を持たない文書であり、感謝の意や人生に
対するメッセージを伝えることが主な目的です。法的な手続きには直接関与せず、
遺族に心の支えを提供します。

エンディングノートと遺言書の形式

形式について、遺言書は法的手続きを遵守し、公正証書や自筆証書が必要ですが、エンディングノートは自由な形式で作成可能です。

形式記載できる内容作成費用
遺言書公正証書や自筆証書が必要財産分与や後見人指定など
法的事項が中心
公証人や弁護士の手続きが必要なため、一定の費用がかかる
エンディングノート自由な形式感謝の言葉や思い出、遺したい思いを自由に記載無料

エンディングノートの作り方

エンディングノートは、自身が亡くなった際に残すメッセージや情報をまとめた文書です。以下に、エンディングノートを作成する際の具体的な項目とその記載方法をまとめました。

①記載する自身の基本情報

・氏名: 本名や愛称、通称など。

・生年月日: 西暦と和暦の両方を記載。

・住所: 現住所と連絡先。

・身分証明書番号: パスポートや運転免許証など。

② 身の回りの情報

・携帯電話やパソコンの数やパスワード情報: 各デバイスの型番や所有しているアカウント、パスワード情報を明記。パスワードは直接書き込むのではなくパスワードを管理しているツールのパスワードを書き込むようにしましょう

・契約サービスの種類、パスワード: インターネット、電気、ガス、水道などの契約先とアカウント情報。

・SNSのIDやパスワード: Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアのアカウント情報。

・ペットに関する情報: ペットの名前、種類、獣医の連絡先、特別なケアが必要な場合はそれに関する指示。

③ 自身の病気や薬について

・現在の健康状態: 慢性的な病気やアレルギーなどの情報。

・服用薬: 処方箋薬や市販薬の種類、量、服用方法。

・主治医の連絡先: 主治医やかかりつけの医師の名前、電話番号。

④ 葬儀や埋葬の希望

・葬儀の希望: 葬儀式典や告別式の形式、宗教的な要素があればそれに関する希望。

・埋葬場所: 墓地や霊園の指定。

・遺灰の取り扱い: 遺灰を散骨したい場所や方法。

⑤ 保有財産や債務について

・不動産: 所有する土地や建物の場所、詳細。

・預金・口座: 銀行名、支店名、口座番号。

・車両: 所有する自動車の車種、ナンバープレート。

・保険: 生命保険や損害保険の契約内容。

・借金・債務: 未払いのローンやクレジットカードの残債務。

⑥ 遺言書の有無と保管場所

遺言書が存在する場合、その有無と保管場所を明確にします。遺言書がエンディングノートとは異なり法的効力を持つため、重要な情報となります。

・遺言書の有無: 遺言書がある場合はその旨を明記。

・保管場所: 遺言書や他の重要な文書の保管場所を指定。

⑦ 親族・知人の連絡先

・親族: 配偶者、子供、親、兄弟姉妹などの氏名と連絡先。

・知人: 親しい友人や同僚の連絡先。

親族や親しい友人、同僚の連絡先を書き留めます。これにより、遺族が関係者に連絡を取りやすくなります。

⑧ 家族へのメッセージ

・感謝のメッセージ: 家族への感謝や思い出を綴る。

・遺志や願望: 家族に対する期待や願い事。

感謝のメッセージや遺族への思いを綴ります。これは法的な手続きに直接関わるものではありませんが、遺族にとっては大きな意味を持つものです。

エンディングノートは個人の希望や情報をまとめたものであり、柔軟性が重要です。作成者の考えや価値観に合わせ、細部にわたり丁寧に書き込むことで、将来の不測の事態に備えることができます。

エンディングノート作成時の注意点

エンディングノートを作成する際には、注意が必要な情報も存在します。以下は、記載を避けた方が良いとされる事柄です。

①避けるべき記載内容

・パスワードの公開: ネットワークセキュリティを考慮し、具体的なパスワードを直接書き込むのは避けましょう。代わりに、パスワード管理ツールのアクセス情報やマスターパスワードを安全な方法で伝えることが検討してください。


・詳細な財産分布: 具体的な金額や資産の細かな分布については、エンディングノートに書き込むよりも、遺言書や法的な文書を通じて遺族に伝える方が適切です。これにより、法的な手続きがスムーズに進行します。


・個人的な感情の吐露: 遺族に対する感謝や思い出は歓迎されますが、冷静な判断が求められるエンディングノートにおいて、感情的な発言や非難を避けることが重要です。


・非合法な行為への誘導: 不正行為や違法行為への参加を促すような内容は含めないようにしましょう。これは法的な問題を引き起こす可能性があります。


・遺言書との重複: エンディングノートには主に感謝や思い出を記載するため、法的な要素や資産分配に関する事項は遺言書にまかせるべきです。遺言書とエンディングノートで内容が重複しないように留意しましょう。

② 保管場所

エンディングノートは慎重に保管されることが重要です。以下は、適切な保管場所についての考慮事項です。

・安全な場所: エンディングノートは個人のプライバシーと感情を含むものであるため、安全な場所に保管されるべきです。耐火金庫や封筒に入れられた引き出し、安全な保管庫などが適しています。


・信頼性のある第三者: エンディングノートの内容を理解し、遵守できる信頼性のある第三者にもコピーを預けることが考えられます。これにより、紛失や破損に備えることができます。

・遺言書と同じ場所: エンディングノートが遺言書を補完するものであれば、これらの文書を同じ場所に保管することで、遺族が必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。

③更新の頻度

生活や状況が変化した場合には、エンディングノートを適宜更新しましょう。新しい財産やパスワード、医療情報などが加わった場合には、これらの情報も遺族が把握できるようにすることが重要です。

④信頼性のある第三者の選定

エンディングノートの内容や存在を知っている信頼性のある第三者を選定し、その人にコピーを預けることで、原本が紛失した際の安全性が向上します。

⑤デジタルコピーの保管

エンディングノートをデジタル形式で保存しておくことも考慮しましょう。クラウドサービスや外部メディアを利用して、物理的な損失や破損に備えましょう。

⑥遺言書との連携

エンディングノートが遺言書を補完する役割を果たす場合、これらの文書が同じ場所に保管され、内容が整合的であることを確認しましょう。これにより、法的手続きが迅速かつスムーズに進むでしょう。

エンディングノートは感謝や思い出を通じて遺族に安心感を提供する大切な文書です。慎重な作成と適切な保管が、円滑な手続きと遺族へのサポートに繋がります。エンディングノートの作成と保管は個人の意思を尊重しつつ、遺族に必要な情報を提供するために慎重な注意が必要です。これらの手順と注意点に従うことで、遺族に安心感とサポートができる大切なものになります。

監修

今野 佑一郎
今野 佑一郎行政書士・弁護士
法的準備は、安心した生活の基盤になりますし、将来の手続負担の軽減にもつながります。手続きを知り、備えることで、自分らしく生きるきっかけになればと思い、生前のサポートを充実させることを大切にしています。
遺言書の作成や、死後の手続支援(死後事務委任)、不動産に関する手続きなどについて、相続専門の行政書士法人として、幅広く情報提供をさせていただき、一人一人の生活に合った選択肢を一緒に考えてきます。